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桃山時代から江戸時代初期にかけて焼成された、本手椀形(わんなり)の瀬戸唐津茶碗です。
長石釉を厚く掛けた釉調は、志野を思わせる趣を備え、白い釉肌には粗めの貫入が不規則に入り、器全体に行き渡っています。
胴は穏やかな張りを持ち、口縁に向けて自然な立ち上がりを見せ、胴に走る轆轤目が造形にリズムと奥行きを与えています。
瀬戸唐津らしい端正さが際立つ作いきです。
素地は唐津焼の中でも独特のザングリとした土味を持ち、高台内などの土見せ部分には、粗く力強い縮緬皺が鮮やかに現れています。
高台はやや三日月形をなし、見込みには三つの目跡が残されています。
特に口辺から胴へと流れる釉の溜まりと、器を覆う貫入の表情は、眺めるほどに味わいを深め、鑑賞においても尽きることのない見どころとなっています。
また口辺には二ヶ所、古い時代の金繕いが施されていますが、長年の使用によりやつれた表情となり、茶人の手により使い継がれてきた来歴を物語っています。
長い時間を経てのみ得られる古色と、しっとりとした肌の艶やかさは、使われ続けた茶碗にのみ宿る魅力といえるでしょう。
その姿には、「侘び寂び」の趣が宿っているようです。
手取りは軽く、扱いやすい寸法で、茶席で用いても本碗の持つ存在感が場を引き締めます。
過度な装飾に寄らず、土と釉、形の調和によって成立した器であり、鑑賞陶器としても十分な見応えを備えた、古格ある味わい深い瀬戸唐津茶碗です。
「草萌(くさもえ)」の銘が付いています。
「草萌(くさもえ)」とは、冬の枯草の下から新たな草の芽が萌え出る様を表す早春の季語であり、厳しい冬を耐え抜いた後に訪れる生命の息吹を象徴する言葉です。
長い時間を経て育まれた景色を持つ茶碗の姿は、春の訪れを待ち望む茶人の心境と重なり合い、器に一層の物語性を添えています。
※口辺部分に二ヵ所金繕いが施されていますが、長年の使用によりやつれた表情となり、茶人の手により使い継がれてきた来歴を物語っています。
口辺の直径144~140mm×高さ67mm
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