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浄法寺の漆絵を続いてご紹介します。
浄法寺という場所のことは少し前回の鶴丸椀のところで触れていますので、あえてくどくど言いませんが、古漆器のお好きな方にはお馴染みの産地と思います。
小さな木皿での桃はもっとラフな感じで描き飛ばすような感覚での絵付けですが、こちらのサイズ的には中盆というような大きさのものは、もっと丁寧で気を使った文様になっています。それだけ上手で発注先が裕福でもあったのでしょう。
桃は吉祥紋様の代表の一つ、甘いものが貴重だった時代にみずみずしい果実を実らせるものだったでしょうね。まあ今ほど甘くはなかったでしょうけれど、それでも水菓子と呼ばれて貴人の食卓に出されることもあったでしょう。子孫繁栄、結実のおめでたいものであります。
黄、緑、黒の制約のある色数の中でバランスよく、見事に意匠化された文様が手慣れた筆致で描かれています。
裏側には黒漆で塗りこめられ、高台内に型紙刷りの技法で発注先と思われる屋号が刷られています。ときどき彼の地での漆盆に見られるものですね。
詳細は不明ながら東北の地で出たものだそうで、地元のコレクターさんだったかもしれません。次の古民藝、漆芸好きの方のお目に留まれば幸いです。
口径24.3~25.1 高さ2.7~3.0センチ
江戸時代
口縁に擦れや欠け疵が見られました。割れも発生した部分が1か所ありますが、この状態で安定しています。
御売約ありがとうございます。 |
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