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丹波の赤土部と云えばひところは民藝というジャンルの象徴のようにもてはやされて一つは持っていないと、とそんな時代もあったらしいですね。
私もリアルタイムではないので詳細にはわかりませんが、それは凄まじいものがあったと古老に聞いたことがあります。今ではあまりそんな感覚も無いのでしょうね、とんとそんな話しも聞きません。
でも柳さんが一地方のやきものにそれだけ魅かれたのは、丹波の器種の豊富さや精緻に作り上げられた高い技術によるもので、それは今でも決して色あせることなく存在し続けているものと思います。
ですが現代の感覚でいま新たに見直してみれば、自ずとまた別の見え方が立ち現れてくるのではないでしょうか。柳さんたちが注目したのは丹波の寓意を込めた江戸の洒脱さ、つまり洒落が効いた品々であったと思いますが、今注目したいのはフォルムやマチエール、素材そのままのかたちや質感であるとお考えています。
ワインレッドと云うのか、赤レンガ色と云うのか、ともかくみずみずしい膚の瓶、モランディのアトリエを描いた作品にはとにかくよくいろんな形の瓶が並んでいましたが、そんな見方もあるのかもしれませんね。
今までは赤土部の評価はとにかく激しく降った黄胡麻のような灰と赤い素地とのコントラストでありましたが、上記のような感覚で見れば、おとなしくとも艶やかな膚とフォルムで好ましいとの評価も与えられて然るべきであろうとも思います。もちろん価格の面でも従来の価値観のものよりリーズナブルに愉しめるというメリットもあるでしょうね。
そんな理屈はともかくとしても、これからどんどん咲いてくる白梅や木瓜などをなげいれて愉しまれてもいいのじゃないですか。
高さ28.2 胴径14.9センチ
江戸時代前期~中期頃
箱はありません。
底にニュウが見られますが、時代ニュウと呼ぶようなもので、さして大きなダメージのものではないと思います。水漏れもありませんでした。
御売約ありがとうございます。 |
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