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タイトルを正式に付けようとすると『李朝分院白磁双耳香炉・透かし彫り葡萄摘み蓋』とでも云うのでしょうか。ただここにはそんなに長くは入りませんが。
さてこれの特筆すべき美点の第一は、造形感覚に溢れる気品がハンパない事!特に葉の形状や葉脈などからは陶工の美的センスが並外れている事が分かります。また分院里窯の作品としてアガリの良さもこれ以上は望めないトップクラス。惚れ惚れする瑞々しさです。
おそらくは王宮か高級両班向け!?と考えてもおかしくない特級品で、身があったら中央博辺りに入ってもいいレベル。当然私の手元になど来るハズもない。
次には摘みが葡萄文である事。普通は以下の東博蔵品の様な面取りの多面体みたいなが多い様に思います。参考画像はこちらをコピペしてご覧下さい。
https://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0095170
以上の点以外は形状も「算木手の透かし」も至って普通なのに、なぜか観た人に鮮烈な第一印象を与える不思議な代物。やはりそれがモノの力というものなんでしょう。本当に力があれば何も奇をてらう必要などないと云う当たり前の事を再認識。そしてまた分院白磁の清廉な美しさ、を改めて教えてくれもします。
◆ 径:9.3cm、高さ:5.3cm。
透かしの算木が一本欠けています。またおそらく熱にやられたのでしょう、ニュウやヒビが結構あります。ご承知おきくださいませ。
画像を組んだ後にちょうど手頃な印籠箱を見つけたのでお付けします。
☆ 三島の大徳利の説明に書いた文章がそのままこれにも当てはまるのでリピート。
今日 李朝陶磁の名品はそれに特化して命懸けで取り組まない限り入手する事は難しく、私もとても本格的な品は望むべくもありませんが、視点を変え自由な眼で見ればまだ手軽に楽しめる李朝もあるんだと教えてくれているようです。
● ご売約となりました。ありがとうございました。 |
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