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半蔵門ギャラリー 渥美小型壺  

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折り返しの少ない控え目な口縁部、すっくとたちあがる頸部、そして肩のまろやかなラインは、その柔らかみを保ちつつ、肩の径の約半分の径の底面へと、ゆるりと落ちていきます。とても美しいフォルムをみせる渥美窯の小型壺です。

手にとれば、小石をいくつも食み、ぼそぼそとした渥美特有の土が、時を経て、一段と枯れた味わいとなった肌を、お愉しみいただけます。そして濡らすと(サムネイル画像)、潤いを得た肌は一変し、つやつやと黒々と若やかな姿をみせます。

渥美窯は、常滑と同様、平安時代末頃から始まったようですが、鎌倉時代、忽然と姿を消しました。理由は、渥美半島の土質が常滑ほど製陶に適さず、換言すれば、常滑に負けた、ということでしょうか。その後約700年間忘れ去られ、再び世に現れるのは、かの本田静雄氏をはじめ熱心な愛陶家により、従来から各地に存在していた「蓮弁紋があったり、肌が黒っぽい壺」が、渥美半島の産であると判った昭和30年代後半、ほんの半世紀ほど前のことです。

状態について
・一度離れた頸部を継いでいます。その接着した陶片も中程で継いであります。
「口頸部をわざと打ち欠いて蔵骨器として使用されることが多い。」(*)また経塚出土の小型壺も「頸は打ち欠かされている」(*)例がいくつもありますので、キズというより、その時代の正式な使用法であると解釈いたします。

・器表全面に大小のヒビのようなものが見えます。これは焼成後のものではなく、焼成中の一種の窯キズとおもわれます。「渥美特有の砂質に富んだ荒い土」(**)と、当時の窖窯(あながま)が遺した景色にみえます。拡大画像でご確認ください。

・この壺は底に穴が穿つてありません。一般に、底の穴は蔵骨器などに使用された可能性を示すもので、穴がない場合は、蔵骨器ではなかったと解釈するのですが、鳳来寺山・鏡岩下遺跡から、蔵骨器として使用された小型壺について、「底部に穴を開けるものは少ない」(*)とあります。よってこの渥美小型壺も蔵骨器であった可能性があります。

制作年代は資料掲載(***)の渥美小型壺との比定から12~13世紀と考えます。

ひと目みた時、深紅の椿を添えたいと思われました。肌といい、大きさといい、花を待っているような渥美の壺だと感じたのですが、傍に置いていると、花はあっても、なくても、良い。枯淡の妙を味わっていただける壺だと思うにいたりました。
高さ:23cm 底径:9cm 肩径:18.5cm 残存口径:7cm

・左画像上4枚:水平に撮影、下4枚:ななめ上から撮影

*『渥美窯 国宝を生んだその美と技』田原市博物館
**『東洋陶磁 vol.3』東洋陶磁学会
***『日本陶磁全集』『日本の陶磁 古代中世編』中央公論社


どうもありがとうございました
 


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