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古染付は日本から中国へ注文して焼いたものが多く、これもそんな中の一つかと思われます。
もともと共蓋があって茶器として使用したのでしょうか、その蓋は無くなってしまったようで、代わりに桑の材に千鳥の蒔絵を施した上品な替え蓋をわざわざ誂えて使っていたようです。細身の上品で瀟洒なお道具として大切に伝えられてきたのでしょう。
また時には茶巾筒としても使われていたかもしれません。(茶巾筒とは、旅持ちの茶籠や箱に仕込むお道具の一つで、茶碗を拭き清める布を治めるものです。)
いずれにしても柔らかく温雅な膚に発色の良い上質な呉須で描かれた桃源郷の絵柄が、慌ただしい旅先でもゆったりとお茶を愉しむという時間にぴったりの風情であったでしょうね。
どちらの使い方も、それぞれお持ちの籠や箱に合わせて組み合わせを考えるのがまた愉しい。呑みたい御仁は見立て酒器として使われるかもしれませんね。
お好きな形で活かしてお使いになってみてください。
高さ7.9センチ 口径3.3センチ
明時代末期
伝世の桐箱に収められています。少し虫食いで荒れた所がありますが、収納には差し支えありません。
編み込みのきれいなお仕覆も添っています。
口縁部にごく薄い削げがいくつかあります。いずれも1~2ミリくらいのものです。
御売約ありがとうございます。 |
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