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古童 常滑 鳶口小壺  

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愛知県は知多半島に展開する常滑古窯。その中世古窯の数は数千基にも及ぶというほど栄えた一大窯業地でありますね。今でも常滑では植木鉢や屋根瓦、土管に朱泥の急須などで陶煙を上げ続けています。

生活に即した用具を焼いている現代と違って、平安から鎌倉にかけては宗教的仏具を大いに焼いていて、遠く離れた場所からも経筒を納める壺として発掘されています。云わば往時の陶工は聖職者の範疇であったのかもしれません。製陶技術は弥生~古墳時代に半島から渡ってきた人々によってもたらされました。それは最初は須恵器というかたちで展開され、のちに中世古窯に昇華されていきます。それらは徐々に日本的な洗練を経て、経塚壺や三筋壺などに代表されるものに収斂されていきますね。

常滑の古窯は耐火度があまり高くなかったようで、高火力で攻め焚きした結果、温度が上がり過ぎてぐしゃっとヘタってしまったものをよく見かけます。それでも気にせず崩落した窯の横に新たに穴窯を掘り焼いていったようです。結果溶着した製品が窯ごとそのまま発掘されたり、前記のようにすさまじい窯の数になったみたいですね。

火は邪悪なものや穢れたものを焼き尽くし清浄にしていくという、北嶺の密教や修験道の影響をこの窯は受けているように思いますし、ゾロアスター的な拝火思想のようなものがあったのでしょう。それで常滑の製品には薪の灰がガラス化してすさまじい自然釉の景色が見られるものがあるわけです。

前置きが長くなって申し訳ありませんが、本題のこの鳶口壺。これにもきれいな自然釉が降りかかり、焦げた赤茶色の膚とオリーブグリーンの釉薬のコントラストがいい味わいになっています。釉薬が厚く掛かると剥落しやすくなりますので、これも土中で起きたと思しき剥離が一部に見られます。

しかしかっちりと焼けた膚にしっかりと残る碧は鉄分の吹き出しなどもあって、渓流の水底を見る想い。実際に濡らしてみるときらきらと輝き始め、うっとりとしてしまう好ましい膚です。

エッジのきっちりと立ったシャープな口造りも健在で古様を感じさせてくれるもの、野花を受け止めて美しく映える佳品です。

以前に一度お客様に買って頂き、巡り巡って再び扱うことが出来ました。不思議な縁を感じますが、それだけこの壺に心魅かれた私の執着心がそうさせたのかもしれません。

まあこのことはお客様にとっては別にどうでもいいことなんですが、少なくとも古童はこんな壺が好きで好きでたまらないということはわかって頂けるかなと思っています。

高さ9.9センチ 胴径11.1センチ 

鎌倉時代

桐箱に収められています。

口縁部にごく薄い削げが一つ、他に削げたところに漆を被せたような部分が一つ、ありました。古窯の発掘ものにとっては全く気にならないレベルで、無疵と申し上げてもいいほどの良好な状態です。

花を活ける場合にも直接お水を入れてお使い頂けます。ただししっかりと乾燥させてからお箱にしまってください。(カビの原因になります。)

御売約ありがとうございます。
 


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