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朝鮮陶磁の徳利がこれほど日本人に好まれるのには色んな理由がありましょうが、その一つに気持ちのいい造形が挙げられるかと思います。
もともとこれは中国のいわゆる玉壺春形を模して作られたのだと思いますが、民族性の為せる技なのか、下膨れが強調され口縁部が小さく控え目なものに変わっていきます。中国のそれはとても洗練されていて造形的には文句のつけようのないものではあります。しかし超絶技巧というのは近寄りがたい崇高さを備えているもの、ですからくつろいだお酒というシーンにはちょっとフィットしないものでした。
その点朝鮮のものは悪く云えばルーズ、よく云えばくだけた雰囲気で、肩の荷を下ろしたお酒を呑むときにとても心地よく寄り添ってくれるものですね。
ソロバン玉のようにキュッとエッジが効いた造形、高台周りの素地が厚いので重心が低く手取りが
重いものになっています。この持ち重りというのもわりあい重要な要素でしょう。
上がりもキレイな白で、最上級とは申しませんが合格点は頂けるものと思います。
ブランドに祭り上げられてしまった鶏龍山や粉引はなかなかに高価で使いづらいものになってしまいましたが、白磁はまだまだリーズナブルなものも多いですね。とりわけこれは色味や疵気の少なさでバランスが良く、コストパフォーマンスの抜群さがおススメしやすいところです。
美味しいお酒をお気に入りの古陶磁で愉しむ時間は至福、ぜひお供にどうぞ。
高さ14.8センチ 胴径10.4センチ
朝鮮時代前期
桐箱に収められています。藍木綿の包布と風呂敷が添っています。
口縁部に燻銀の繕いがあります。丁寧できれいな修理です。
御売約ありがとうございます。 |
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