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塩笥茶碗とは調味料などを入れた雑器の小壺を茶碗に見立てたもの、本来ならばもっと深く筒形で口縁の広いタイプを云います。ですからこれは厳密に云えば違うものでしょうが、それでもこのひしゃげた形と手取りを表現するには他に言葉が見つからないものでした。壺ではなく、何とか見立ての碗として紹介したくなる、それくらい魅かれる不細工?な造形であったわけですよ、私にとってはね。
釉薬はよくある堅手の灰白色、さして珍しい膚ではないと思います。しかしこの上から押しつぶしたお饅頭のような形がなんともソソる・・。自重でヘタったのもあるのかもしれませんが、それにしてもお尻の膨らみが強い造形になっていますね。轆轤の最中に強く力が加わったのかヘラ目のようなところもあってワンポイント。口縁は薄い作りで唇もフィットしました。
見込み中央には轆轤の引き上げで出来た兎巾を均すためか、擂粉木状のもので押さえた痕が梅花文様のように残っています。高台の兎巾はよくつぶしているのは見ますが見込みには珍しいかも、それくらいスピーディーな轆轤作業だったのでしょうね。
お茶やコーヒー、焼酎など、たまにはこんな変化球もいいのじゃないでしょうか。
口径7.7~8.1 胴径11.0~11.2センチ 高さ6.4センチ
朝鮮時代前期頃
桐箱に収められています。風呂敷と丹波木綿風の包布が添っています。
無疵です。(高台畳付に削げが見られますが、これは目土を外すときに外れたものと思われますので、疵の範疇には入れなくともよいと思います。)
御売約ありがとうございます。
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