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花を活ける、ということに興味を持ったのは恥ずかしながらそれほど以前の事ではなく、昔はキレイだと思ったにしてもあまり自分で活けてどうのこうのというのはありませんでした。
しかしデコラティブで豪華すぎる洋花はともかくとして、やきものに触れる、あるいはお茶道具に触れる機会が多くなれば、当然の事そこで賞玩される花生にも目が行くのは当然の帰結と云えるでしょうね。
かくて今は自然をいとおしむという感情が強くなり、庭でもわずかばかり花を育てたり、部屋にも活けて愉しんでいるわけですが、それを若者の眼から見れば老化と片づけられるのかもしれません。
しかし愛でるようになってより一層うつわへの感覚が研ぎ澄まされるということもあって、モノの活かし方がまた若いころと変わり風情を愉しめるとも云えるでしょう。要するに真摯に向き合えるような年齢になって初めてわかることもあるということなのかなと勝手に解釈しています。もっともお若い方でも深く理解されておられる方もいらっしゃいますから、私などまだまだ未熟だということなんですが・・。
余計な話が長くて恐縮ですが花生ひとつ買いました。
朝鮮陶磁の面取りは好ましい意匠として昔から好きなんですが、これはまた更に凝っていて、面取りで出来たエッジの左右を更に一削りして、そこを強調する効果を上げています。細長い胴はおおむね筒形ですが、やや下方が膨れた瓶のようなかたち、どっしりと安定感のある造形になっています。
灰色に上がることが多いこの手も、これはかなり白く上がって素地の土の赤みもあるのでしょう、ポチポチとピンクの斑文がいたるところに表れていて嬉しい変化がありますね。まるで御本茶碗の膚のようないい景色です。
類例が少ないこの不思議な造形、もともとは箸立であったと思います。口縁すぐ下に二つの穴が穿たれていますが、これは紐を通して吊って使用するためのもの、今は埋められていますが、底に水抜き穴がもともと開いていたものです。日本民藝館には鉄砂の箸立などが収蔵されているのは、ご覧になられた方も多いのではないでしょうか。
素朴な秋草を投げ入れてお愉しみ下さい。
高さ17.2~17.8センチ 胴径11.0センチ
朝鮮時代後期
新しいものですが桐箱に収められています。
内側から見ると口縁からニュウが入っているような部分が1か所ありますが、反対側には通っていません。また先述の通り水抜き穴を埋めて花生けとして使いやすいようにしてあります。
御売約ありがとうございます。
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