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決して高価ではないし、人に自慢するような類のご立派なものでもない、でも木の国に産まれてきたからには、どうしたって心の奥底にこの木という素材に対するノスタルジーが存在するのはどなたも否めないのではないでしょうか。
特に彫刻作品のような芸術品じゃなく、こんな素朴で素材感がむき出しになっているようなものに強くそれが表れているのじゃないでしょうか。
よくこの手は繭皿として使用されているものが多いですね。関東でよく見かけるそれらはたいてい底面が丸い平たい皿なのですが、これは鉢という器形ですね。汎用性の広い、何にでも使っていた生活道具であったのでしょう。
材はトチやブナなどと思われますが、側面を一定のリズムで面取りしていますね。内側も刳り抜いて作っていますが、ここはもっとランダムにザクザクと斫ってます。小さい鉢なのですがこの削り痕が魅力、全体に煤けたものがまた手脂でいい味に変化しています。
なんでも身の回りのものを放り込んで雑に使ってもいいし、素材そのものを鑑賞してもお好きに愉しんでみてください。
直径25.8~27.7センチ 高さ5.6~6.1センチ
江戸~明治頃
見込みの一部に擦れ痕や口縁部に打痕などありますが、虫食いや割れなどがありませんので、状態は
非常に良好です。
御売約ありがとうございます。
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