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南滋賀廃寺とは「川原寺式伽藍配置をもつ逸名の大寺院・・大津京との関係で注目される寺院である」(*)と図録にあります。
そこから出土する創建瓦の数々、複弁系蓮華文軒丸瓦の卓越した出来映え、単弁系蓮華文の独創的意匠、何より、唯一無比の方形軒丸瓦と称される所謂サソリ瓦等々、これらを見れば、普通の大寺院ではなかったであろうと拝察いたします。
「Vll型式(19 20)1+4の蓮子を配する小さな中房と弁端がやや角ばり、中央に稜をもち、その基部に同形の子葉を配する八葉の弁、ツルハシ状の間弁、幅が狭く低い外縁から構成されるもので、凹凸は少ない。瓦当の厚さは薄く、丸瓦部との接合は瓦当裏面上部に丸瓦を単に当て、その内外に粘土を補強する方法をとっている」(**)
丸瓦のほぼ四分の一に、完全な形の蓮弁はたった一枚ですが、八葉の闊弁が瓦当面いっぱいに広がる雄大な意匠を、感じていただけるかと思われます。質、量、とも、天平瓦と一線を画すものです。
灰白色の色調も、ひいき目でしょうか、どこか高貴な雰囲気が感じられます。
最大長辺:11.5 cm 厚み:3.5 cm 箱なし
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『古代の宮都 よみがえる大津京
飛鳥から大津へ、天智天皇は近江に何を求めたか』
大津市歴史博物館
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参考画像・引用
『近江の古代寺院』
どうもありがとうございました。 |
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