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下膨れのフォルムが愛らしい縄文時代晩期の小壷です。
一見すると黒い小壷のように見えますが、表面が浮いている箇所の下側や、肩を一周する縄文を施した細い凸帯上の凹んでいる部分、さらにその上の細い二重凸帯の間の凹んだ部分、また中を覗くと内側など、ところどころ赤が残っていますので、元は、赤塗り小壷であったと思われます。
高さ、胴径、とも約8センチの小さな体に、おそらく突起付きであった細い二重の凸帯と、細く繊細な縄文帯を、とてもバランスよく肩にめぐらせています。
状態は見たとおりです。補修痕は見当たりません。底部辺りを中心に表面剥離が何カ所もありますが、中央の径1.4ミリ程の円は製作時のデザイン、おまじないかもしれないと思っています。
現在では、縄文時代は一万年以上も続いた、ということが分かってきました。どこか遠く離れた人の作ったものではなく、この日本列島で、自分達の祖先が、こんなに魅力的な土器を作り、今に伝わったことに感慨をおぼえずにはいられません。
高さ8.2 cm 胴径7.5cm
参考画像:『縄文の玉手箱 ----風韻堂コレクション図録----』青森県立郷土館
どうもありがとうございました。
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