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ぽったりと厚い素地、クリーミーで温雅な膚、染付でありながら冷たさを微塵も感じさせない古染付は、当時から現代に至るまで日本人に深く愛されてきたものですね。
特に日本からの注文によって作られた厚手の懐石道具の一群は、当たり前の話しではありますが、時代の好みとある種のエキゾチックな魅力で日本を席巻したと云っても過言ではないでしょう。
こちらは筒形に引き上げられた轆轤を口縁部で急角度に開き向付としたものですね。このかたちは美濃の陶芸の華、志野や織部にも採用されて同じ器種を作らせるほどの影響を与えました。
外側は松の古木や道士が佇む風景、見込みは牡丹のような花が一枝、料理を盛ることを考えてのことか余白多めで、いかにも盛り付けて完成される一幅の絵というところでしょうか。周縁には吉祥文の連続で構成されていて、これも余白の多い生掛け焼成特有の膚が愉しめる絵付けです。
古陶磁好きならば、いいことがあった日のお酒には気に入りの酒器が登場するのは勿論のこと、肴を盛るうつわもこんな特別なものは如何でしょうか。
口径13.5~14.5センチ 高さ7.5~8.1センチ
明時代末期
桐箱に収められています。
口縁からニュウがひとつありました。口縁の釉剥けは虫食いと呼ばれるもので、古染付に限って疵にカウントしないものです。また見込みに若干の降りものが見られます。
御売約ありがとうございます。 |
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