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朝鮮の木工は明治~戦前くらいにたくさん請来されてきて、日本では高島屋などで大々的に売立会が行われてきていました。今も名品として名高いような品も混じっていたようで、それらは各美術館に収蔵されていることは皆さんよくご存知ですね。
さてこれがそんな中のひとつかどうかはわかりませんが、なんとも質素でシンプルな木工品ですね。当時はこんなものは見向きもされなかったかもしれませんし、今でも興味のない人からしてみたら、きたない、貧乏くさいとさげすまれるのかもしれません。
長方形の筆箱のようなこれは彼の地で使用された枡です。立派な枡は隅に金具が付けられて透漆などで仕上げられているかと思いますが、最底辺のこれはそんなものもなく長年の使用によりトロトロの質感に変化しています。よくこんなものが残っていてくれたな~という言葉がまず出てきますね。
材は松でしょうか、素材が持っているヤニの成分で黒くなるのかもしれません。底板には持った時の手擦れで窪んでいるところがあり、働き者の息使いが聞こえるようです。見込みには煤状の黒い物が広がっているし、底には蝋が付着しているので、灯りの道具に途中で転用したのかもしれませんね。
火入を仕込んでカジュアルな莨盆として使うのは面白い趣向じゃないでしょうか。
長さ20.1センチ 奥行8.7センチ 高さ6.7センチ
朝鮮時代
立ち上がりの内側部分に虫食いで荒れたところがあります。
御売約ありがとうございます。 |
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