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実にシンプル!簡素な彫りだけで構成された神像ですね。僧形の神像と表記しましたが、地蔵菩薩などの可能性もあるかとは思います。しかし神仏混淆の時代には庶民にとってそれらを分けることにはあまり意味がないかもしれません。でも立派な崇拝対象の仏像と違って確実にそばに寄り添ってくれる温かみのあるお像と云えましょうか。
実はこの仏像の兄弟であろうと思われる像を昨年の夏ごろ買ったことがありました。その時はそれ一体だけであったのですが、今回別れ別れになっていたものがこうしてまた私のところに来てくれるのも不思議な縁です。もともとは六地蔵信仰で六体あったのか、あるいはもっと多く作られた可能性もあるかとは思います。
神像と考えるのはほとんど煤けていないということも一つあります。仏像は御前で香を毎日のように焚いて供養するわけで、お像には煤が付着します。神像の場合は清浄なことを何より尊びますから、俗にいう白錆状態が多いわけですね。これもそうした小さな御堂の屋内で保管されていたようなので、意外ときれいな状態で見つかっているのでしょう。
黒くとろとろの味のものも魅力ですが、この白錆もまたきれいなものです。簡単な線だけの彫りで表情を作っていますが、そんなシンプルさがこのお像にマッチしているのじゃないでしょうか。
高さ29.6センチ 横巾20.1センチ
江戸~明治頃まで広い範囲を考えています。
御売約ありがとうございます。 |
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