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古童 珠洲古窯 素文壺  

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中世古窯の鑑賞というのはそれほど古い歴史があるわけでもなく、おおよそ戦後の昭和30年代頃からと思います。その頃に六古窯という言葉が出来て、それが独り歩きをはじめてしまった感があり、それ以外の産地についてまったく言及されないことがしばらく続いたかと思います。

六古窯とは瀬戸、信楽、常滑、備前、丹波、越前を云いますが、現在ではそれ以外に多彩なものを焼いた窯の存在があちこちに点在することがわかってきて、六と云う数字にはあまり意味がないことになっています。もちろんそれらが著名なのは、優品が茶の世界で取り上げられていて、早くから研究者が出版、論文の発表などを通じてファンにアピールしてきた結果であるわけですね。ですから中世古窯の先端ということでは敬意を払うべき存在ではありますが・・。

それに漏れたこの珠洲古窯は一部の出土品などのイメージから、閉ざされた能登半島という僻地の粗末な窯業と見なされてなかなか陽の目を見ることが出来ませんでした。

しかし吉岡康暢氏や楢崎彰一氏などの研究者の地道な努力によって実態がわかって来るにしたがって、実は多彩で見事な装飾の壺類がたくさん焼かれたことが知られるようになりました。経筒や仏像さえも焼成していて、しかもそれらが日本海交易によって各地にもたらされていることも解って
きて、僻地どころか中世の能登は重要な交易地、そして珠洲は渥美半島や東播地域の窯業技術を受け継いだ実に優れた窯業地であったことが知られるようになりました。

重要文化財に指定されている草樹文壺など、今ではきちんとした評価がされ、地元珠洲市においても資料館が建設されるなどに至っています。かく云う私も件の資料館にひとつお品をお納めしたのもいい想い出として残っています。

さてこの壺、櫛描き波状文などの装飾は無い素文壺ではありますが、くっきりとエッジが立ったシャープな口縁、全体のフォルムも美しく、北陸に赴いた際に仕入れてきました。ちなみにこの小型壺には有名な叩き目文はありません。蛇足ながら一言。

もしかしたら海揚がりであったかもしれないこの壺、ほとんど疵気もなく発掘ものの中で望みうる最高に良い状態です。

胴の下部分、火抜けによってそこだけ肌色のように変化している部分が、ポゥっと灯りをともしたようで瞑想的なこの壺に温かみを添えています。

決して常滑のような派手な自然釉の流れも、信楽のような茜差す色味もない壺たちですが、そこには須恵器以来の伝統的な燻焼還元焼成の伝統を受け継ぎ、静かで瞑想するような表情の質感が如何にも中世と云う時代を想起させるものになっているのが魅力と思います。

小型の壺でありますので、座辺で愉しみやすい、花なども投げ入れたい、そんなところもちょっと
いいところかと思います。

高さ18.4センチ 胴径16.5センチ

鎌倉時代

桐箱に収められています。

胴の一部に僅かな擦れ、また口縁にいくつか薄い削げが見られますが、発掘ものとしては無疵に等しいと申し上げていいかと思います。非常に良好なコンディションです。

御売約ありがとうございます。

 


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