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古童 浄法寺 松竹梅鶴亀図 蓬莱箱  

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浄法寺の漆絵をご紹介して、さていったいいくつのお品を皆さんにお目に掛けることが出来たかなと考えても、すぐには思いつかないほどですが、この蓬莱箱と呼ばれるものは指で数えるほどしか機会のないものでした。それくらい残っているものが少なく、ましてこの上手のものというのはそれなりに長いことやってきて初めて買うことが出来ました。

この上手、すなわち作りが丁寧で古格があるものは絵柄を観るとき横方向に絵付けが為されているのが第一の特徴、(江戸後期のタイプは縦方向に絵付けがされています。)また蓋の上部、甲盛りと云いますがここが高く盛り上がっている、つまり遠く平安鎌倉から続く蒔絵の経箱など、神宝として伝わるそれらの古い伝統のかたちを踏襲しているわけですね。それから蓋と身の合わせ部分に玉縁状の膨らみがあるもの特徴です。これは塵居と云いますがこれもやはり前掲の古い伝統の形です。

蓋天板に鶴と亀、中央にはぐりぐりと力強く枝をくねらせた常盤木、つまり常緑が永遠の若さを象徴する松の木を弁柄漆で表わしています。身の四面には黄漆を使って松や竹の吉祥文を入れていますね。三本の幹に椿?の花があしらわれているものが四面すべてにありますが、これもやはりそういった意味合いの紋様なのでしょうね。花嫁が輿入れの際に持参し、化粧道具や身の回りの品々を納めた箱ですから、質素な庶民のお祝いであってもせめて幸多からんと祈る気持ちが込められた精いっぱいのはなむけであったろうと思います。

こちらのお品は花巻の骨董商であり浄法寺コレクターであった故佐々木勉氏の旧蔵品であったようです。雑誌「遊楽」1997年7月号には氏のコレクションとしてこちらのお品が掲載されています。当時日本民藝館の主任学芸員でおられた尾久彰三氏が実際に現地に出向かれて実見した箱たちについての一考察があり、時代判定について書かれています。

すなわちこの甲盛が高く横方向の絵柄で塵居が設けられている全く同じ造形の別の箱に描かれた寛文美人の文様、(参考画像として載せています。)絵画で描かれた寛文美人の図が漆絵として採用されるのにそれほどの時間の経過があるとも思えず、同時代に作られたものではないか云々と記されています。僻地の大名であっても参勤交代の役はあるわけで、意外と江戸の文物が伝えられていたりもするものです。科学的な根拠ではないにしろ納得できる時代判定ではないかと私も考えます。尾久氏は自分は一鑑賞者なので断定は出来ないとしながらも、数多くの品々を観てこられた方のご意見は傾聴に値するものと思います。

戦前頃から秀衡椀などについては松田権六氏や山村耕花氏など、佳本が刊行されていて注目していた人も多かったようですが、こうした庶民の漆絵の美しさについてはまだまだ取り上げられなかったわけです。しかし柳宗悦さんが取り上げて民藝館に所蔵されたり、佐々木さんのような人の努力でいくつもの漆絵が廃棄処分の運命から救い上げられたことと思います。

それにしても初めて買う事の出来たこの上手蓬莱箱。日本民藝館のガラスの向こう側にあってもまったく引けを取らないものですし、漆絵コレクターさんの高い鑑賞眼をも満足させる一品がご紹介出来たと手前みそながら喜んでいました。

そして初めてご覧になるという方も漆絵の世界に引き込むような力を持ったもの、ぜひぜひその豊饒な世界を味わって頂きたいと声を大にして皆さんにお勧めしたいと思います。

横33.6センチ 縦24.1センチ 高さ27.9センチ

時代判定は難しい漆器の世界ですが、上記にあるように江戸時代初期と考えています。

経年の漆の剥落、擦れ、打痕などがありますが補修はありません。普段目にするものは状態の悪いものや、現代の補修が入っているものが多いなか、これは奇跡的に良好なコンディションと云えます。さすがにいい時代に集められたものですね。(それでもその前の時代に比較すればいろんなものが失われたことと思いますが・・)

掲載された雑誌遊楽の当該ページのカラーコピーを同封いたします。

御売約ありがとうございます。



 


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