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頭部も四肢も欠失した古墳時代の埴輪の残欠です。
早春の野山を元気に走りまわる太古の少年をみるようで、微笑ましく、明るい気分にさせる埴輪トルソーです。
画像で、胸部の、ふっくらと自然な肉付きの良さがお伝えできるか少し不安ですが、背中(画像中央・上)のすとんとした造形と比べると、お分かりいただけるでしょうか。
腰に、紐を二重に廻したベルトをつけ、襟元には首飾りの玉が付いていたと思われる跡が幾つか残っています。
左腕の付け根には、腕を形作っていた粘土の先が押し込まれた状態で残っており、胴部内側をのぞけば、紐巻上げ形成により作られた様子が確認できます。
文庫本程の残欠ですが、古墳時代の人が、この埴輪を作っていった制作過程を窺うことができます。
やわらかな赤みを帯びた肌、溌剌とした肉体の張りをみせる胸部、そして、逞しい両腕を天に向け伸ばしていた姿が目に浮かぶような造形、古墳時代の野山に吹いた風まで運んで来るような埴輪トルソーだと思われます。
残欠寸法:13 x 13 x 5 cm 総高(含台):18 cm
どうもありがとうございました。 |
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