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称徳天皇の発願により天平神護年間に製作された木製三重の小塔です。実際に百萬基が製作され十の官寺に分納されましたが、現存する品は法隆寺から伝わったものです。かつて納入されていたのは自心印陀羅尼。底の墨書銘はありませんが、大和古物の権威であられる岡本彰夫氏によると「底部の墨書銘は、百万もの塔を轆轤挽きしたのだから、当然多くの工人が従事する。殊に名を入れていない物は、平城京内の官の工房で造られた物と考えられている。その他、名を入れた物は雇われ工人の作らしい。賃金や評価の必要性からであろう。」との事。
陀羅尼經が欠失し決して良いコンディションとはいえませんが、それでも白土が遺る小塔の佇まいには未だ静かな美しさが宿っております。
高 210mm
桐箱付
天平時代
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