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シュールな現代アートのような、古墳時代の馬形埴輪の残欠、轡(くつわ)をつけた馬の頭部です。
円形の孔を穿っただけの目の表現、鋲を打った円形の鏡板、そこから V 字にのびる革ひも、古墳時代の造形感覚が、馬の顔片面に、鮮やかにのこっています。
出土は不詳ですが、
「関東地方は馬の埴輪の多さでも特筆され」(*)、またこれは、鼻面を丸め込んで塞ぐことをせずに、筒状の顔の先端を開いたままにしており、このように、
「筒形につくられた鼻面は、群馬県地方の最盛期埴輪馬の特徴である」(**)ことからも、6世紀末から7世紀初にかけて、関東地方出土、のものと考えます。
残欠とは言え、古墳時代の重みは拭いようもなく、更に、大きさ(***)もあるので、存在感があります。また白い肌は美しく、アップでご覧いただくと、ぷつぷつとした質感も魅力的です。
飾ると、空間が広がるような感覚を覚えます。この馬が走っていた1400年前の野山へ、いざなわれるかのようです。
・画像左・一番下は入手時のものです。繋いだ部分が目立つので、目立たぬよう色をいれてもらいました。
・画像中央で、飾った時の雰囲気をご覧ください。
・画像右下は、6世紀、群馬県出土の、鼻面を塞がない筒状の顔の馬形埴輪です。『日本の美術 はにわ』
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『はにわの動物園 関東の動物埴輪の世界』橿原考古学研究所付属博物館
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『開館記念展 群馬のはにわ』群馬県立歴史博物館
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顔本体:最大長辺:19 cm 幅:10 〜 13 cm
台をつけた時の総高:27.5 cm 台:18 x 11.5 x 1 cm
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