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半蔵門ギャラリー 白描図像・地蔵菩薩と馬鳴菩薩  

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やわらかい朱の彩色が美しい密教の白描図像、描かれているのは地蔵菩薩と馬鳴(めみょう)菩薩です。

墨書は以下のように読みました。
「龍樹菩薩 種・曩字 三昧耶形 梵篋」
「馬鳴菩薩 種・迦字 三昧耶形 勾糸」
図像と名称はずれており、もと巻子であったものを誤って分けてしまったと考えられます。

本紙と同じ白描図像は、東寺観智院蔵「諸尊図像」巻上と、醍醐寺国宝「四家(しけ)鈔図像」巻中(参考画像)に見い出すことができます。
これらの図像同様、本地蔵菩薩の右には地蔵菩薩との墨書、龍樹菩薩との墨書の左には龍樹菩薩の図像が描かれていた筈です。

その地蔵菩薩には、
「弘法大師御弟子智泉之筆・・」(「諸尊図像」)、「智泉之筆」(「四家鈔図像」)と書き添えてあります。(*1)
この智泉(789 - 825)、
「弘法大師十大弟子の一。・・母は大師の姉・・夙に画技に秀で、世にその画風を智泉様と称す」(*2)とあるように、弘法大師の甥で、中々の画僧であったようです。

「密教においては絵画をよく描くことが最高の阿闍梨の資格の一つとなっており・・法の授受の際にはその修法の本尊のかたちをあらわしたものを授けるのが本来のしきたりで・・受法者が師から提示されたものを自分で模写する場合も多かった」(*3)

本図像では、仏様の表情は柔和で、手足の指先の表現は繊細、馬は、その双眸に強い意志を込め、体躯は量感あふれ、画伎にすぐれた阿闍梨の手によるものと感じられます。
また「画師に僧階を与えることも」(*4)あったようで、絵をよくするも、書はそこまでは、ということもあったのでしょうか。
時代は、難しいのですが、鎌倉末(14世紀)ぐらいまで上るのではと考えます。

表具の上下と中廻しは落ち着いた同系色で、風帯と一文字には竹谷町裂、その一文字中央には鳳凰が輝き、仏様は上品に荘厳されております。
時代が感じられる美しい一幅です。

「六道の衆生を救済する」(*5)地蔵菩薩と「貧窮の衆生に衣服を与える菩薩として、又養蚕機織の神として祭祀され・・作品は殆ど現存しない」(*5)馬鳴菩薩の、珍しい白描図像です。所謂「十巻抄」の馬鳴菩薩とは姿を異にするので、東寺観智院、醍醐寺に伝来するものと兄弟にあたる『諸尊図像』(*1)の断簡かと思われます。
密教阿闍梨の手による仏様、傍にいただくと、空気が変わるような気がいたします。
軸:99 x 40.3 cm 


*1『諸尊図像』国会図書館蔵(和古書)にも「智泉之筆」とあり。
*2『密教大辞典』法蔵館
*3「密教における白描図像の歴史」佐和隆研
*4「教典と仏像のあいだ」佐和隆研
*5『仏像図典』佐和隆研


どうもありがとうございました
 


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