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六十六部廻国は法華経を六十六回書写し一部ずつを六十六箇所の霊場に納め歩く修験者で、13世紀には既に廻国が行われていたと記録に残りますが、全盛期を迎えるのは室町時代です。筒には、奉納者名の後に「奉納大乗妙典六十六部内一部 三十番神 天文十一年八月」、蓋には宝相華文が鏨彫されております。関東地方を中心に全国各地で出土例がありますが、鍍金も程よく遺り完全な形態を保たれているのは嬉しいことです。
小さくとも緊張感が漲る造形感覚、厚い鍍金と緑青が織りなす見目佳き景色。掌中で愛玩できる、貴重な経筒です。落しを入れて小さな花を生けると、また格別の美しさかと存じます。
高 100mm
径 45mm
桐仕込み箱付
天文十一年(1542年)
◎早々の御約定ありがとうございます。
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