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塩笥茶碗というのはきっちりとした約束事で云えば冬のお茶わんかもしれません。でも正式なお茶会はともかく、カジュアルに愉しむお茶であればあまり季節も関係なくどんどん使って頂けるのではないかと思います。実際、ある方は夏にこの塩笥茶碗を用い、濃い目に点てた抹茶に氷を入れて冷茶として飲むということを文章に書いておられました。そうなると手のひらにひんやりとしたものを感じ暑気払いになるでしょうね、なんとも約束に囚われない秀逸な使い方と思います。
堅手釉なんでしょうが、釉薬は滑らかに良く溶けて碧色に光っています。そこに貫入が入り、滋味深い味わいです。そして胴の下部に黒い焦げが入っていますね、また見込みにも焦げと降りものがあったようで黒く変化しています。普通はこんなところは欠点になってしまうのでしょうが、釉薬の色味とのコントラストで考えれば、チャームポイントと贔屓してみたいと思います。窯の中の神さまのいたずら、それがまた古陶磁の面白い所でしょうからね。
造形は塩笥として理想的なもの、すなわち口縁の広がり、唇にフィットする端反り加減、しっかりと重心が低い高台の厚みなど、気持ちよくお使いになれる一品です。
疵は残念とおっしゃる方がいるかもしれませんが、丁寧な繕いが施され、またきれいな様子の箱に収められていることで大切に愛されてきたことがわかります。
座辺で気のおけない茶にぴったりのうつわとお勧めしたいものです。
口径8.7～9.0センチ 胴径11.7センチ 高さ9.8センチ
朝鮮時代前期頃
桐箱に収められています。
口縁に金繕いが5か所、ニュウが3本ありました。
御売約ありがとうございます。
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