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鍍金が良く残る小さく可憐な、そしてとても珍しい鈴です。一般に『古墳の鈴』と言われるものですが、何が珍しいかと云うと『鍛造』による制作であること。叩いて鍛えて薄い二枚の銅板を半円形に成形し、真ん中の胴紐の部分で上下を併せてあります。鍛造の場合、まず叩き伸ばし易い様に錫などの銅を堅くする金属を混ぜずに作る為、音はあまり響きません。鍛造で作る目的の一つはおそらく軽くする事で、結果かなり華奢な作りですので、屋外での使用や激しい動きを伴う場所には不向きです。従ってその小ささもあり、馬具の鈴とは考えにくいように思います。貴人の装身具などであった可能性を考えていますが、鍛造にも拘わらず鍍金が非常に美しく、ここの経費をケチっていないのもそう思わせる一因です。
一方、寺院堂内や仏像の荘厳具(華鬘、瓔珞など)の一部であった可能性もあるかも知れません。この場合は当然、時代が大きく変わってきます(私は消去法で平安時代を比定しており、それより下ることはないと考えています)。この部分の時代考証についての説明をし出すと各時代毎の日本の金工技術 等かなり長くなってしまい、文章にするのもなかなか難しいので、ご興味がありご購入をお考えの方は直接またはお電話でお話しさせて頂く方が良いかと思います。いずれにせよ荘厳具としての鈴の場合でも室町末〜桃山以降の個体なら結構ありますが、それより上る鈴は現存数が極めて少なく(平安の荘厳具などでは鈴は欠失している場合が多い。特に鍛造品は朽ちやすい)、比較対照が困難なのが残念です。それだけに稀少であるとも云えるのですが。
◆径: 2,9cm、高さ:3,8cm。一部欠けた部分を補修してあります。画像でご確認ください。仕込み箱。
・恐れ入りますが、お値段等はお電話にてお問い合わせくださいませ。 090-4450-7524 又は 03-3563-5311
◎ ご売約となりました。ありがとうございました。 |
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