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定番のものを紹介するのに毎度引き合いに出している、珍品堂 秦 秀雄さんの言葉、曰く「美しいものが当たり前にたくさん存在していることのありがたさ」、この言葉は今でも心に残るもので、当たり前だからと侮らず紹介し続けてくことの大切さを教えてくれています。
さて今回のお品も定番と云えば定番、東北地方に多く見られる馬板です。祭礼の日、版木で摺った紙を竹などにさして田の畦道などに立てていきます。目に見えない神さまが馬に乗って移動していくことを表わしたものですね。田の神さまは米の収穫が終わると山に帰っていき、また来春に山から下りてくることを繰り返すのだそうです。
この馬板、ちょっと変わった点は馬と共に鳥居が彫り込まれていることでしょうか。今まで買ったことがあったのは馬単体のものばかりでした。図録などでは猿がいたり、複数頭の馬がいたりというような変わったものの存在は知ってはいましたが、実際に自分の手にしたのは今回が初めてです。
丸太を簡単に削っただけの単純な板、まさに小さな集落の小さな祭りのために作られたものだったんでしょう。
廃棄されても仕方のないようなところ、まさに救い上げられて現代に残り、私たちの目を愉しませてくれる、当たり前に存在してくれているありがたさ、感謝したいですね。
ちなみに出ているところは新潟のようです。
長さ16.1センチ 高さ11.0～11.8センチ 厚さ3.2～3.5センチ
江戸時代頃
御売約ありがとうございます。
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