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朝鮮のやきものが大好きで、それなりにたくさん扱ってきたつもりだったんですが、それでもこんな珍獣のような茶碗が出てくるんだなぁ~と改めてその魅力に引きつけられてしまいました。
堅手の釉薬を掛けているのですが見込みは釉剥ぎになっていてその茶溜まり部分には自然釉の碧が
光っています。むらむらと掛けた釉薬の下から素地の茶色が覗いて表情豊かなものになっていますね。高台のなかにも施釉していますが、鮮烈な緋色が出てこれも景色になっています。
普通の堅手茶碗と云うとおとなしい印象のものが多いのですが、これは謂わば表と裏の片身替りの意匠が面白いところ、そして外側の素地と釉のコントラストが魅力のお茶碗です。画像では乾いた状態ですが濡らすと見込みの赤い土が鮮やかに光って茶の映りがとてもいいものです。
このタイプはあまり類例がありませんが、高台の作りなどは鉄砂の意匠の徳利や壺などに酷似していますので、年代も中期から後期に掛けてと云うところと判断しています。
めずらしいと云うのはさておいて、これは実に毎日のお茶に気持ちの良い碗ではないでしょうか。
また口縁に微細な石ハゼの取れた痕があるものの、これは無疵と云ってよい状態のもの、長く永く座辺で愛用して頂きたい一品です。
口径13.3~13.7センチ 高さ6.4~6.6センチ
いつ日本に請来されたかはわかりませんが伝世の箱は失われています。しかし新しいものながら甲盛のきれいな桐箱に収められ、お仕覆に包まれて丁寧な仕立てになっています。
御売約ありがとうございます。 |
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