|
かねてから事あるごとにその魅力を云い続けてきた古染付の食器としての魅力、それは同様の染付である伊万里などと比較してもなかなか高いものがあると思っています。なぜならそれは素焼きをしないでも焼ける良質な磁土による、生掛けのいきいきとした膚の魅力が大きいですね。初期伊万里やくらわんかがなぜもてはやされるのか?、それも同様な理由かと思います。堅く冷たいイメージは微塵もなく、磁器でありながら温かみを感じさせてくれるからでしょう。
またその温雅な絵付けの魅力も忘れてはならないポイントと思います。省力化と云うか、手抜きで数をこなすと云うものであったのにこんなにも愉しいのは、益子の土瓶の絵付けをしていた皆川マスさんのエピソードに共通するものだったでしょうか。
余計なことを考えず、オートマチックに手を動かせるようになったときに、自然とのびやかな美しい線が引けた、ただただ数をこなすことが美しいものを産み出していける人間賛歌のようなものを感じます。
さてこのうつわ、龍の文様を丸くまとめたいわゆる団龍文と云うやつ、名物布にも見られるポピュラーなもの、うつわにも盛んに用いられました。しかしあまりにも手馴れて抽象的な丸文のようになっていますね。それ以外は口縁や高台に線が引かれているだけ、いたってシンプルなものです。それだけに余白の膚の色の美しさが目に沁みます。
少々深めなので汁気のあるものでも使いやすいですね、もちろん私の家でも毎日のように使っていますがとても便利なものですよ。実用一辺倒じゃなくとももちろん美しい鑑賞物ではありますが・・。いずれにしろ美しく暮らすためのうつわ、ぜひともお勧めしたい佳品です。
口径15.3センチ 高さ6.0センチ 一つづつ微妙にサイズが異なります。
明末期~清朝初期頃
虫食いから微細な削げがあったりしますが、ほぼこれは無疵と表記しても問題のないものと思います。もちろんニュウなどはありません。
御売約ありがとうございます。 |
|